おかえり

薄暗い部屋、ローテーブルの上、ディスプレイに照らし出される指先。
ベッドの端に背をもたれて文字を紡ぐ。
窓の外から虫の声、いや、気のせいかもしれない。
手を止め、耳をすます。

........ .. .... ...... ...... ... ........

かつて、そういう日々があった。
1日の終わり、眠くなるまでの時間、とりとめなく、思い浮かぶことを言葉にした。
伝えたいような、見向きもされないだろうと諦め切っているような、
いつか分かってもらえたらと願うような。
私が消えてしまえば、他の誰も知ることのないだろう、些細なこと。
それでもただ忘れてしまうには惜しかったのかもしれない。

...... ......... .... ..... .... ........ .. .. ......

あの頃の自分にはきっと、今の自分は想像できないだろう。
多くのことが変わった。
言葉を紡ぐ意味も、同じではないのかも知れない。
それでも。
誰に分かってもらうためでもなく、ただ、心にあるものを拾い上げておくために。
ここに帰ってきたようだ。

..... の帰る場所。
おかえり。

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