かけらたち

雪にも雨にも降り始める瞬間がある
そんな単純なことの証明がほしくて
雪を待ってる

その瞬間は唐突に訪れた

北西の海 水平線に届く程の雲と見えたのは雪の尾 この時点ではまだ遠いかと思われた
	転じて北の灯台 まだ雪は灯台の向こう
		いつもならクレーンのむこうに 漁協の建物が見えるが すでに雪の帯に覆われていた
この後の変化は早かった
ほんのしばらくの間北西の海に 目を向けている 先よりもぐっと雪の尾が近付いていた		鳥の声に目を向けると わっと舞い上がった鳥たち 舞い降りる雪が見えた
	灯台はすでに 雪の向こうに霞んでいた
		もうクレーンは完全に見えない 雪がほほに触れた
雪が舞う 驚いた海鳥も舞い上がる 雪が視界を覆った