11.暮色(暮れゆく空の色)


… そいつの名は

東の空

昼間の猫の細い目

そんな形の月を見た

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夕暮れ時

東の空を見るとイイ

そいつはそこからやってくる

音速を超え

音も無く

時速1666kmの速さでやってくる

迫り来てその漆黒の翼で全てを覆う

それから逃れられるものはいない

ぼやけた青空をぬぐい去って

それは

宙の姿を見せつけ

生命の絶対の孤独を知らしめる

安らかな沈黙をあたえる

そいつはいろんな名前で呼ばれている

けれど

姿はひとつ 唯ひとつ

誰もがそいつの名を知っている

逃れることは出来ない

止めることも出来ない

そいつの名は …



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