15.曇色(曇る日の色)


素直な女の子
何かを頼まれると断れなくて
疲れても頑張っちゃう 頑張りや

いつも明るくて疲れてたって
「大丈夫です」なんて 微笑んでいる
強がりとかじゃなく ただ単純に

チョコレートは苦手 でもお菓子は好き
ぬいぐるみやかわいいものが好き
人に何かおごるのも好き

ちょっと頑固なところもある
あと 人に甘えるのも苦手そう
面白くないだろう話でも ずっと笑って聞いてる

いい子 本当にいい子なのに

辛い環境におかれている
家ではほとんど眠れないらしい
いつもひとつ上のお兄ちゃんと一緒

友達も居て 虐められてるわけでもない
学校へ通うお金は 自分で出している

人に甘えられないのは
甘えられる環境に居なかったせいらしい
家庭事情は悪いそうだ

どうして
こんなにいい子が
辛い目にあうんだろう

どうして

まだ 守られるべき年齢なのに 小さな身体に
どれほどの苦渋がのしかかっているだろうか
こんな小さな肩なのに

どうして…

大切なものが 奪われた
目の前で
自分を庇って手を広げた
あの人を
救う手立てが
俺にはなかった

大切な人を守れなくて
そのことを後悔して
毎夜毎夜夢に見ている
この人を
救う手立てが
わたしにはない
自分だって身体は傷だらけなのに
自分を責めて
心さえも血を流している
でも
そんなものじゃ救われないのだろう
守れなかった自分の無力さから
でも
いくら自分を責めても
失った人は戻って来ないのに
でも
わたしの声は
この人には届かない
届けたいのに
あなたが生きていてくれて嬉しいと
伝えたいのに
わたしの声は届かない
夢の中で何度も大切な人を失って
憔悴し切っているこの人を
救いたいのに
伝えたいのに

どうしたらいいの…

願っているのに
願いすら届かない

ただ苦しくて 悲しくて 寂しくて

どうしようもならなくなる

あの人に会った後は

心はもう 完全に捕えられていて

身動きが出来ない

他人に話せば 笑い飛ばされると知っている

でも 笑われても 馬鹿にされても

かつての自分を もう

取り戻せないと知っている

何も知らなければ 良かったのだろうか?

苦しくて
悲しくて
寂しくて
壊れそうになってもまだ
すがっている自分を
殺してしまいたい

こんな感情はいらない

消して

お願い

もう

自由になりたい

誰か 助けて

誰か…

どうしようもならない
どうしようもできない
そんな現実にぶつかる時
膝を折った人は
すがるように呟くのだろう
「神様…」と…
でも…
きっと
こんな雲った空じゃ
神様だって 見逃すんだ
救いを願う人々を


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