優しい歌など、歌えないから、俺には…
嘆く君の姿の奥に 数年前の自分の姿を見た
何が苦しいのか 何が悲しいのか
分からない 考えようともしなかった頃の自分
ただただ日々を嘆き 悲しみに囚われていた自分
今はそんな自分を無駄にしないためだけに生きている
辛いことは確かにあった これからもおそらくあるだろう
でも 何もやり遂げないまま 駄目になってしまうわけにはいかないから
だって もし今ここでくじけてしまうなら…
あの日の涙は何のためだった?
あの時の苦しみは何だった?
傷つけてしまった人たちは そのための痛みは?
身の置けないやるせなさは?
嘆き暮らした夜は?
それでも立ち上がった朝は?
今までの自分全てを
無駄にできるわけなんかない そんなこと
許せるはずがない
君は自分の不遇を嘆くけれど
どこかに捕えられているわけではない
望まない徴兵に追われる身でもない
まして 病に苦しむわけでもなく
夜露を凌ぐ場所すらないわけでもなく
飢えにおびえるわけでもない
ただ 目を塞ぎ 耳を塞ぎ
言葉という名の鎖で自分の存在を縛り
身動きの取れないフリをしているだけだろう
誰かの苦しみと努力の上に己の生のあることを知らず 認めず
唾を吐きかけると言うのなら
いずれ自分が同じ立場になる時
同じ仕打ちを受けるのだ
一人で生きている人間などいない
だからこそ 他人を必要とし また 他人に必要とされるのだから
それを忘れたフリをして 必要とされたいなどと
馬鹿馬鹿しいことを言うな
今受け入れられないとしても
それは事実で真実で 変えようのないものだと知れ
分かっているか、俺は怒っているんだよ?
君自身を大切にしないことは
君を思う人の心を踏みにじる行為だと
自分のことを心から心配してくれる人に対して
「愚か者」と罵る行為に等しいのだと
いい加減 君は気づくべきだ
自分などどうでもいいと思う限りまともな恋愛すら出来ない
自分が好きでないものを どうして他人が好きになる?
嘘でも 自信がなくても まず 自分を好きになることから始めなさい
優しい歌はえないけれど
大切な君へ