【大天使の翼】
夜空の半分を覆う大きな翼のような雲 その広がり
大気の揺りかごに背を預けて 大天使が仰向けになって
月を独り占めしている
翼は厚く 月の光はほんの僅かしか
地上に届かない
寝待ち月を眺めるその 澄んだ瞳の色
【珊瑚を孕む海】
夜の裏側は真昼 珊瑚礁の連なる遠浅の海
色とりどりの魚が水面下を泳ぐ
豊かな水の城には 美しい鱗をなびかせ
人魚たちが舞い踊る
晴れ渡る空に 翼を広げる海鳥
その影の落ちる水面の色
【空気を造り出す森】
木漏れ日に目を薄める動物たち 深い森は彼らの縄張り
危険と隣り合わせながら 生きるものたち
野生の厳しさと道理が支配する原生林
遠くに立ち上る焼き畑の煙
人知れず生きる 知恵を持つ小人たちが見る
陽を透かした幼い葉の色