８４．アクアマリン（藍玉、青緑色）

心に響くメロディーを

特大の氷に爪をあてる
かりかりと削っても
痛いようなな冷たさが
指先にひりつくだけ
氷は全く欠けない
うっすらと水滴を纏って
泰然とそこにある
かりかり　かりかり
削る爪には冷たさと
淡く朱に染まった指先

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心の中に大きな氷塊
それとはもう長い間の付き合いで
いつだってその存在を感じていた
感じていることで少し
安心している自分がいるのも知っている

だってこれがあるから
心がそんなに簡単に壊れたりしないってことを
信じられるから

でも
時折ちょっと重くて
苦しい時もある
そう言う時は
泣きたい時

そんな時の特効薬は
ちょっとセンチな
心に響くメロディーたち
うっすらと氷の表面を解かして
心が少し自由になる
アクアマリン色の氷は
決して解けきることはないけれど
それでもほんの少しでも
前向きな気持ちになれるから
いいことあるよって思えるから

それでなんとか
ひとって生きていけるものなんだと思う

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