No. 09 九日月
夜 雪まじりの冷たい雨の中を
自転車に体を乗っけて走る
こんな夜には月は見えない
かじかむ指で ぎゅっと ハンドルを握りなおす
今ごろ月は西の方だろう 沈みかけの
ずっと低い空にいるはずだ
誰にも見つけてもらえないけど
きっとそこで輝いている
何か 良いかも
そう言う生き方
誰に見られていなくたって
輝いている月のように
誰に見られていなくとも
認められていないと思えても
頑張って毎日を過ごすような
そう言う生き方って 良いんじゃないかと思う
今は不十分で 恰好悪くて仕方なくても
輝けることを 輝くことを疑わない
いつかあの月のように
満ちることを疑わずに
頑張っていけるような毎日を
送ることの大切さ
知った気がした 雨月の夜
【雨月】うげつ。雨の降る夜の月のこと。雨夜の月とも。