No. 12 十六夜

満月の次の日
いざよい(ためらい)ながら
昇る月

それが十六夜の月

ためらいながら昇るくせに
その輝きは
満月になんら劣ること無く
周りの星たちの光など遮って
夜空に煌々と輝く

いつだったか
赤銅色の十六夜の月を見たことがある
無気味で
一瞬見ただけで
そのあと振り返るのが恐かった
たった一瞬見ただけなのに
今でも
ありありとその姿を思い出せる

恐ろし気でしかしそれ以上に
惹き付けて止まないもの

『月に殺されるなら構わない』