下弦の月

東の空に下弦の月
船のように横たわって
まるで真っ黒な夜空を漕いでいくよう

気持ちよさそう

そんな風に思いなながら 冷たい空気の中
坂を下る

この月の企画を始めてから約一年
あの時とは違う自分がいる
月は変らないけれど...

引っ越しもして、新しい環境
戸惑うことが多かったのか何なのか
寂しさに我を見失っていた四月

苦しい思いを抱えたまま
目の前のことに必死になっていた五月

梅雨の長雨に体調も崩しつつ
胸に抱いてしまった思いのせいで
不安定になっていた六月七月

逃げることを諦めて
楽しさだけに心奪われた八月

無邪気に恋色に染めた九月
それが破れて意気消沈していた十月
人恋しい自分にいい加減嫌気がさしている今月

散々なこともあったけどまあ
こんなもんなんだろうな

何より
一応の変化があることが嬉しい
変らない毎日など退屈でいけない

変らないものなら他にあるから、それで良い