凍えて散った心の破片たち
もう後一秒だってこの空間には居られない
逃げるように 寒い月の下へ出た
ねえ だって 俺は 要らないじゃないか…
否 ずっと 付き合って来た感情だった
『この空間に俺は必要なわけじゃない』
そう考えることから産まれる数多の感情…
疎外感 孤独感 孤立感 虚無感 悲愴感 焦燥感 …
そんな 暗い 感情たち
それらに追われるように逃げ出す
そんなことこれが初めてじゃないのに
堪えきれない
そう感じた
たとえ俺が今この瞬間に息絶えても
時間が来れば陽は昇るだろう
世界は何もなかったかのように動き出すだろう
そんな極端な話ではなくても
あの場から俺と言う一人が消えても
ほとんど何も変わらず 物事は進んだだろう
ならば
俺の存在意義はそこにはない
そう思えば 思った瞬間
居なくなりたかった
消えてしまいたかった
必要とされないのに
必要とされたいのに
俺がいなくても 別に 自棄になっているわけではない
そんなつもりはない
ただ 理由が見つけられない
俺が生きている理由が
そんなもの 明確に持っている人間などどれほど存在すると言うのかと
言われてしまえば返事に困るが
俺は 周囲の人たちの存在を 必要としている
けれど
その人たちにとって俺は必要じゃない いくらだって代わりはいる
そう思えて ならない
俺が俺であった上で 俺を必要としてくれる人など
数えるほども知らない
自棄になっているわけでは決してない でも 消えてしまえと思うのは
俺を必要としてくれる人がそばにいて欲しいと
望む自分を消してしまいたいのだ
そんな 手に入るかどうかも分からないものに 必死にすがるより
俺が必要としている人たちを離さないために
彼らに気に入られる自分を作る方がよっぽど
時間を 努力を費やす価値がある 理に適っている
そう思うのに 望むことをやめない
そんな自分を消してしまいたい
望まなければ 葛藤も 悩みも 抱かなくて済むと言うのに
愚かな
しかも 俺が欲しいのは 俺に 無条件に優しくしてくれる人だ
そんなもの どこにあると言う? 馬鹿馬鹿しい お伽話だ
否 お伽話でも もっと上等だろう
とにかく 暴れる心と折り合いをつける方法を見つけたのはいつだっただろう
こうやって そんなお伽話や 愚痴を こうやって文字に 凝めることで
のたうちまわる自分に 時には喝を入れ なだめ 慰め 諌める
そうやってきた
その凝りこそ カケラ
ここに散らばる 無数の言葉たち
けれど
こんなことは貴方は知らなくて良い
言葉の奥に のたうちまわる誰かを見ることなど
何の意味もないことだ
ただ 望むのは カケラの奥に
貴方自身の姿を見ることだ