雲と空の名前

雲の種類
巻雲 筆でさっと線を描いたような白い雲で、高度5000〜13000mの空に現れる。筋雲。
巻積雲 さざ波のような、もしくは小石を敷き詰めたような雲。鱗雲。
巻層雲 薄雲。白くて薄いヴェールのような雲。
高積雲 雲の塊は巻積雲よりも大きく、陰影がある。高度2000〜7000mの空に現れる。彩雲とも。
高層雲 空一面に薄い墨を流したような雲。雲の底が波状になることがある。朧雲とも。雲底は2000m、頂は7000m以上になることもある。
乱層雲 高層雲がさらに厚くなり、雲底が低くなった雲。太陽や月が完全に隠れてしまう。雪雲。雲底は高度2000mから、雲頂は5000m以上になることもある。
層積雲 板状、あるいは丸みを帯びた雲の塊が層状、または波状に浮かんだもの。畑の畝のように規則正しく並ぶこともある。雲の高さは2000m以下で、山から見える雲海の多くはこの雲。
層雲 最も低い位置に現れる雲。霧雲。高くても2000mのところで観測される。
積雲 綿雲。底が平らで頂が丸い形。にわか雨を降らすことがある。
積乱雲 いわゆる入道雲。積雲がさらに発達したもの、雲の頂が広がっているのは圏界面(対流圏と成層圏の境目)に達しているからだそうな。激しい雨をともない、冬には豪雪をもたらす。

 高積雲か層積雲の一種かと。畝雲と言うには乱れ過ぎているから、荒れ畑雲とでも、名付けてみようか…。
 家の近く海岸から大体西の方向を眺めて撮影したもの。
密に接した雲がびっしりと空の半分を覆う。その雲の裾のがあまりにもはっきりしているのが珍しくてファインダーにおさめた。
まるで雲海をひっくり返したような不思議な雲の下には本物の海が広がる。風はほとんど無く、奇妙なほど静かな凪だった。

 雲の名前は、正確に判断するのは難しい。一応近いものを探してみたものの、自信も根拠も無いが、まあ、そこはきっと、見る人の自由だろう。

上の写真を撮ったのと同じ日同じ時、90度とちょっと視界を巡らして北の方を見ると、こんな雲が広がっていた。この日は西と北と、大分雰囲気が違う空だった。合成写真のようにぽっかりと雲が浮かんで、刻一刻と姿を変える。
雲の底から地上にかけての部分を「雲の根」と呼ぶそうだ。目には見えないが、この根っこから水分を調達して積雲や積乱雲は発達する。夕方になって入道雲が発達しなくなるのは、この根っこからの供給が無くなるからだそうだ。
 新月もそうだが、昔の人は目に見えないものが見えていたのだろうか、実際は見えないものにも名を与えるのは豊かな感受性の現れのようで、少し、羨ましい。

メレンゲ雲

思わず、「なんだこりゃ?」と見上げてしまった雲。
ちょうど、固く泡立ってきたメレンゲに似ているな、と思う。下に向ってちょっとぼこぼこした雲。写真だと余計に分かりにくいですね…。
 こんなのが北東の空に広がっていました。上の写真とは別の日に撮ったものです。この時期って、不思議な雲が多い時期なのかな?
 下に向ってこぶのように垂れ下がる雲底を持つ雲を、乳房雲と言うようです。牛の乳に似てるからだってさ。

夕日を吐き出す雲

 薄いヴェール状の雲と層積雲が空を覆い、高さの違う雲のその隙間から夕日の金色の光がさす。
 5月半ばの時期の夕焼けを平地が見下ろせる場所から見ると、空がふたつになる。水をはった田んぼに夕日が映って空と同じ色に染まるのだ。金色を受けて輝く大地を見ると、一瞬言葉を失う。
 田植えの前から稲が大きくなる前までのちょうど3週間ぐらいの間、この景色は楽しめる。この時期にしか見られない。昼間の青空と雲と山を映すのも綺麗だが、やはり夕日が一番美しいと思う。

山かつら【やまかつら】
山頂や山腹に葛のように巻き付くような形からこの名前がついた。層雲の一種。
中学・高校と、教室の窓からはいつも立山が見えた。その山腹に時折、長く細く連なるこの雲がかかる。ゆっくりと動いていくその雲をぼんやり眺めていたものだ。

竜巻【たつまき】
冬の日本海に竜巻を良く見かける。竜が天へ上って行く姿を喩えたものだが、上手いこと言うもんだなあ、といつも思う。

雲堤【うんてい】
 土手のように長く伸びた雲の帯。多くは寒冷前線とともに現れるので、天候が崩れる前触れと言われる。
 ほぼ同じ長さに連なるこの雲にさぁっと風が駆け抜けたような筋が出来ると、ちょうど大きく広がった鳥の翼のように見える。これを見かけてはミカエルの翼と呼んでいた。

霞と朧
【かすみとおぼろ】
煙のような霧がかかっている時のことを、昼間は霞、同じことを夜は朧と言うようです。

浮き雲【うきぐも】
空にぽっかりと浮かぶ雲は、風に吹かれ形を変え、ゆったりと、時には急かされるように流されて行く。それが転じて将来の全く分からないさまを喩える時にも使われるそうな。

天使の梯子【てんしのはしご】
雲の切れ間から差し込む光が筋のようになって見えることを指します。
日本ではきっと、天女の通路(かよいじ)とか、呼ばれそう。仏教絵画で如来が降りてくる道もこんなものだったような記憶。

入道雲【にゅうどうぐも】
積雲が大きく発達し、雲頂が1万キロを超す高さになったものを雄大積雲と言い、その中でも頭が丸みを帯びて、坊主の頭に見えるようになったものを入道雲と呼びます。最近では積乱雲も含めて呼ぶことがあります。
この入道雲には各地に方言があります。江戸の方言では「坂東太郎」、これは本来利根川の異称であるそうです。九州地方では「筑紫二郎」、これも本来は筑紫側の異称です。河川の源流で発達した雷雲が川にそって下ってきて平野で暴れ回ったのでこう呼ばれたのだと考えられているようです。また、京都では丹波の方角に出る入道雲を「丹波太郎」、奈良方面なら「奈良二郎」、和泉方面なら「和泉小次郎」と呼ぶそうな。その他「比古太郎」、「信濃太郎」、「岩見太郎」、「豊後太郎」、「四国三郎」など、何だか人の名前のように呼ばれるのは、親しまれている証拠でしょうか。
他にも「たこ入道」や「まいたけ雲」など、地方によって様々なものに例えられているようです。

曇り空も たまには良いよ
晴の日ばかりじゃ疲れるもんな
曇りの日があるから
晴の日だって楽しいんだと思うよ